競技シーズンが始まると、 「試合や練習で十分動いているから筋トレは必要ない」 「疲労が溜まるからウェイトトレーニングは中止する」 といった考え方を耳にすることがあります。
しかし、シーズン中にストレングストレーニングを完全に中断すると、オフシーズンやプレシーズンで獲得した身体能力が徐々に失われる可能性があります。
今回は、NSCAの文献をもとに、シーズン中のストレングストレーニングがなぜ重要なのか、そしてLIME PERFORMANCEではどのように現場へ落とし込んでいるのかをご紹介します。
なぜシーズン中も筋力トレーニングが必要なのか?
シーズン中にトレーニングを中断すると、「ディトレーニング(トレーニング効果の消失)」が起こります。
ディトレーニングによって低下する可能性があるのは以下のような能力です。
- 筋力
- パワー
- スピード
- 筋肉や腱などの組織強度
競技シーズンは試合数や練習量が増える時期ですが、競技そのものだけでは高強度ストレングストレーニングと同じ刺激を得ることはできません。
そのため、適切なストレングストレーニングを継続しなければ、シーズン後半にかけて身体能力が低下する可能性があります。
特に注意したいのは「パワー」の低下
文献では、パワーは筋力よりも先に低下するとされています。
パワー低下は競技現場において、
- ジャンプ力の低下
- スプリント能力の低下
- 切り返し能力の低下
- 当たり負けしやすくなる
といった形で現れる可能性があります。
例えば
バスケットボールではリバウンド争い、サッカーではヘディング競争、バレーボールではブロックやスパイクなど、わずか数センチの差が勝敗を左右する場面があります。
競技だけでは補えない刺激がある
競技練習では、
- 技術練習
- 戦術練習
- 持久力向上
などは十分に実施されます。
しかし、筋力やパワー発揮に必要な高閾値運動単位は、高強度のストレングストレーニングによって活性化されることが知られています。
つまり競技練習とウェイトトレーニングは役割が異なります。
シーズン中のストレングストレーニングは、競技練習では得られない刺激を補うために必要なのです。
シーズン中のトレーニングがもたらす4つのメリット
① オフシーズンの成果を維持できる
プレシーズンまでに高めた筋力やパワーを維持し、シーズン後半の能力低下を防ぎます。
② パフォーマンスを維持できる
筋力・パワー・スピードを維持することで、長いシーズンでも高い競技パフォーマンスを保ちやすくなります。
③ 傷害予防につながる
筋肉や腱、靭帯などの組織に適切な刺激を与えることで、競技による反復ストレスへの耐性維持が期待できます。
④ 身体の修復・回復をサポートする
トレーニング刺激は身体組織の修復やリモデリング機構の維持にも関与するとされています。
シーズン中におすすめされる種目
文献では全身を使うキネティックチェーンエクササイズが推奨されています。
- スクワット
- パワークリーン
- ハングクリーン
- ベンチプレス
- シーテッドロウ
さらに傷害予防を目的として、
- ローテーターカフエクササイズ
- 足関節周囲の補強
- 体幹トレーニング
などを組み合わせて実施します。
シーズン中の筋トレで注意したい3つのポイント
① ボリュームを増やしすぎない
シーズン中は筋力向上ではなく維持が目的です。
トレーニング量はオフシーズンより少なく設定します。
② 強度は維持する
重量を極端に軽くすると高閾値運動単位への刺激が不足する可能性があります。
必要な強度は確保しながら、総量を調整することが重要です。
③ 練習直前・直後を避ける
疲労の影響によりトレーニング効果が制限される可能性があるため、実施タイミングにも配慮が必要です。
まとめ
シーズン中のストレングストレーニングは、単なる補助トレーニングではありません。
- 筋力維持
- パワー維持
- 傷害予防
- 組織強度維持
- シーズン後半のパフォーマンス低下予防
これらを実現するための重要な役割を担っています。
競技力向上と傷害予防を両立するためには、年間を通じた計画的なストレングストレーニングが欠かせません。
LIME PERFORMANCE
LIME PERFORMANCEでは、競技特性・試合スケジュール・疲労状況を考慮したインシーズンストレングストレーニングを提供しています。
アスリートから一般の方まで、安全で効果的なトレーニングを通じて競技力向上と傷害予防、そしてQOL向上をサポートしています。
参考文献
Kraemer WJ, Nitka M. Importance of an In-Season Strength Training Program: A Reminder to Sport Coaches. Strength and Conditioning Journal. 2023;45(3):379-383.

